乳腺の疾患
乳腺の疾患

乳腺外科では、乳がんをはじめとするさまざまな乳房の病気を診察・治療しています。良性疾患の多くは生命に関わるものではありませんが、乳がんと見た目が似ているものもあるため、自己判断は禁物です。気になる症状があれば、まずは専門医にご相談ください。
なお、「乳がんは痛まない」と思われがちですが、痛みの有無だけで判断することはできません。早期の乳がんは自覚症状がないことも多く、定期的な検診で発見されるケースが多くあります。40歳以上の方は2年に1回のマンモグラフィ検診が推奨されています。
乳がんの治療は、がんの種類・大きさ・広がり・乳がん細胞の性質(サブタイプ)・患者様の状態などをもとに、個別に検討します。主な治療法は以下のとおりです。
手術療法
がんの範囲に応じて、乳房部分切除術(温存手術)または乳房全切除術を選択します。
放射線治療
乳房温存手術後に、残存乳房への再発を防ぐために行うことが多いです。
薬物療法
乳がん細胞の性質に応じて、ホルモン療法(内分泌療法)・分子標的治療・化学療法(抗がん剤治療)・免疫療法などが選択されます。
当院では診断・検査を行い、手術や専門的な治療が必要と判断した場合は、ご希望の医療機関へご紹介いたします。
乳腺症は病気というより、女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)のバランスの変動に対して乳腺が強く反応した状態です。30〜50代の女性に多くみられ、閉経を迎えると症状が落ち着くことがほとんどです。基本的に治療は不要で、多くの場合は定期的な経過観察となります。ただし、乳腺症の中にはしこりや石灰化を形成し、乳がんとの鑑別が難しいケースもあるため、専門医による画像検査での確認が大切です。
乳腺嚢胞(のうほう)とは、乳腺内に液体がたまった袋状の構造物です。女性ホルモンの影響で生じやすく、30〜50代の女性に多い良性疾患のひとつです。単純な嚢胞であれば痛みや違和感がない限り治療は不要で、経過観察を行います。嚢胞が大きくて圧迫感や痛みがある場合は、注射針で中の液体を抜く処置(吸引)で症状の軽減が図れる場合があります。ただし、内部に固形成分を伴う「複雑性嚢胞」は悪性との鑑別が必要なことがあるため、超音波検査での詳しい確認と、場合によっては針生検による病理検査が重要です。
乳腺線維腺腫は、乳腺を構成する上皮細胞と間質(結合組織)が一緒に増殖してできる良性の腫瘍です。女性ホルモンとの関連が考えられており、加齢とともにホルモンバランスが変化すると自然に縮小・消失することもあります。基本的に悪性化することはなく、多くの場合は定期的な経過観察で対応します。ただし、後述の葉状腫瘍と画像上の見た目が似ていることがあるため、針生検(組織検査)による鑑別が必要なケースもあります。しこりが急速に大きくなる場合や、サイズが大きく気になる場合は、手術での摘出を検討することがあります。
葉状腫瘍は、乳腺の間質細胞(結合組織の細胞)が増殖してできる腫瘍で、良性のものが多いですが、一部に境界病変・悪性のケースもあります。線維腺腫と比べて短期間でしこりが急速に大きくなる傾向があるのが特徴のひとつです。良性であっても再発しやすく、再発を繰り返すことで悪性化するリスクがあるとされているため、外科手術による十分な余白をとった切除が必要とされています。悪性の葉状腫瘍では転移の可能性もあるため、手術後も画像検査などによる定期的な経過観察が重要です。線維腺腫と画像・病理検査での鑑別が難しい場合があるため、「しこりが急に大きくなった」と感じたら早めに専門医への受診をおすすめします。
乳管内乳頭腫(にゅうかんないにゅうとうしゅ)は、乳汁が通る乳管の内部にできる良性の腫瘍で、乳頭近くにできることが多いとされています。30〜50代に多く発症し、血性の乳頭分泌(赤や茶色の分泌物)の原因として最も頻度が高いとされています。良性疾患ですが、乳がん(とくに非浸潤性乳管がん)との鑑別が画像検査だけでは難しいことがあり、マンモグラフィ・超音波検査に加えて針生検が必要になるケースもあります。診断がついた場合は定期的な経過観察が基本ですが、血性分泌が続く場合や悪性が完全に否定できない場合は、手術(乳管腺葉区域切除)を行うこともあります。
乳腺炎は、乳腺内に炎症や細菌感染が起こった状態です。授乳期に多くみられる「授乳期乳腺炎(うっ滞性・化膿性)」と、授乳と無関係に発症する「非授乳期乳腺炎」があります。うっ滞性乳腺炎は乳汁が乳腺内にたまって起こるもので、授乳の継続や乳房のケアで改善が期待できることもあります。細菌感染が加わった化膿性乳腺炎では、抗生剤による治療が必要です。膿がたまった状態(膿瘍)になると、切開して膿を排出する処置が必要になることがあります。乳腺炎は適切な治療で改善が期待できますが、放置すると症状が悪化することがあるため、症状が強い場合や高熱が続く場合は早めに受診してください。
乳腺の疾患は、良性か悪性かを画像や触診だけで判断できないケースが少なくありません。「たぶん良性だろう」と放置せず、専門医による正確な検査・診断を受けることが大切です。当院では、マンモグラフィ・超音波検査・病理検査を組み合わせた一貫した診察を行っています。女性専用フロアで、安心してご相談頂ける環境をご用意しています。
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